1.在宅介護の課題について
2000年に導入された介護保険制度は、介護現場とかけ離れた制度改正が繰り返され、「介護の社会化」の理念が変質してきている。求められているサービスと提供されるサービスとの乖離が顕著となっている。次期制度改正に向け、当事者主権で使える制度にするために、現場からのボトムアップが必要だ。
① 慢性的な人手不足は、質の向上に影響を与える。介護人材確保の対策を民間任せにするだけでよいのか。保険者として離職率をどのように把握し、現場の声を反映しようとしているのか
② 09年度は報酬3%の引き上げで「介護従事者の処遇改善」を諮ろうとしたが業務量も増え、実際に報酬の引き上げに効を奏し、処遇改善につながっているのか。申請の状況、具体的な効果をどのように把握してきたのか
③ ミニデイサービスが急増していると聞く。療養病床の削減により、受け皿が充分でないにも関わらず在宅介護を余儀なくされた結果に影響を受けたもの、生活援助の代替かと察するが、増加の理由は、現状の把握と認識を伺う。
④ デイサービスの現場などで、利用者側のニーズより事業者側のメリット、意向で利用回数を増やす、リハビリを増やすなどのコントロールも行なわれがち、とのケアマネからの声を聞く。独立型の居宅介護支援事業者も少なく、利用者にとってサービスの中立が保たれているのか
⑤ 加算のシステム、都の「在宅医療サポート介護支援専門員養成」研修などは大手の居宅介護支援事業所にとって有効といえるが、小規模事業所のケアマネは対象とならず、淘汰の方向にあるのでは、と懸念する。訪問介護事業所でも規模の大小によって受ける影響が異なる場合も多い。この落差について支援も必要と考えるが、どうか。
⑥ 直営の介護認定調査は評価が高い。しかし、重視される医師の意見書にばらつきが多いとの指摘もある。かかりつけ医の課題とあわせ、どのように捉えているのか。
⑦ 介護と看護、医療の連携、在宅医療資源の課題が大きい。療養病床の削減状況はどのようか。その後の在宅においての「在宅医療体制の整備」が重要であるが、「医療との連携の推進」に具体性が見当たらない。現状と体制整備についての見解を市長に伺う。
⑧ 既存の訪問看護、訪問診療の実施状況を把握しているか、今後の量的確保について計画を作成すべきではないか、見解を伺う。
⑨ 在宅医療の専門医が少なく、在宅療養支援診療所の設置も全国的に拡がっていない。設置状況や機能および利用についてどのように認識しているか。
⑩ 昨年11月、国会で大河原雅子参議院議員が「訪問介護員の『散歩』の同行」という給付の対象外とされてきた在宅介護の現状について質したことは意義が大きく、介護の現場で反響をよび、東京都は3月に、厚生労働省は7月に事務連絡を発表したことはご案内の通りと思う。この事例について、どのような取組みや位置づけがされているのか、伺う。
⑪ 老老介護、日中独居の高齢者の現状に認識がなく、自治体、関係団体で統一的な解釈となっていない「同居家族がいることによる訪問介護の利用制限」だが、当市での取り組み、実態は
⑫ 利用のニーズと合わないため、介護保険の範囲を超えた自費、自己負担の発生も多い。現状はどのようか。どのように把握に努めているか。
⑬ 市の第4期介護保険事業計画にある通り「地域密着型サービス」の提供事業者募集について募集が行われた。応募状況、現在の進捗はどのようか。
⑭ 地域密着型サービスを行なう「梨世会」の「小規模多機能型居宅介護・梨の園」の利用率、充足率はどのように改善されてきたのか。梨世会」事業の検証、精査および新たな設置についての見解を、市長に伺う。
⑮ 第4期計画にも「地域ケア体制の充実」として地域包括支援センターの機能強化と高齢者の見守りネットワーク化が記載されているが、未だに具体策の動きが見えない。地域包括支援センターは、地域ケアの核になれるのか、民間委託化され公的機能の限界はないか伺う。見解と今後の具体策を伺う。
⑯ 国によって、認知症専門のスタッフを配置し、医療との橋渡し役を担ってもらう構想で150ヵ所に人員配置の予算がついた。当市の人員配置の現状と役割、課題について伺う。