離婚後の共同親権導入改正に4党が修正案を合意(4/12)に引き続き懸念を表明します

1月30日、法制審議会家族法制部会において、離婚後の共同親権導入を含む「家族法制の見直しに関する要綱案」が取りまとめられました。法務大臣への答申を経て、今国会に民法改正案が提出される予定ですが、東京・生活者ネットワークとしての懸念を表明します。

離婚後共同親権の導入は、特に子どもの利益の面での不安要素があり、反対の声が多く寄せられました。家族法制部会では、最後まで委員の合意に至らず全会一致でなく採決による決定になったうえ、異例の付帯決議があったことはその表れです。

■共同親権の選択が強制されることへの懸念

要綱案では、これまでの離婚後単独親権から、①協議により単独親権か共同親権かを決めることができる、②協議が調わない場合には、父又は母の請求により家庭裁判所が審判をして決定する、とされています。共同親権が原則でなく従来通り単独親権とすることも可能ですが、どちらか一方が望まない場合には、力のある一方の考えが強制される恐れがあります。合意に至らず裁判所に判断を委ねなければいけなくなった場合、現状でさえ人員不足の家庭裁判所が、外からは見えにくいDVや虐待など家庭内暴力の特性を踏まえて1件ごとの判断を適切に行うことができずに機能しなくなる恐れがあります。

こうしたケースに限らず、父母が十分な話し合いができない関係のまま共同親権にしたことで進学や治療、転居など重要な決定に際しての合意ができない場合、裁判所も関与した紛争となり、改正の目的に反して「子どもの最善の利益」に支障が出てくる可能性もあるのです。

■現行法でも離婚後の面会交流や共同養育は可能

また、離婚後の子どもとの面会交流についての誤解もあります。現行法でも、離婚後も別居親が子どもに会うことや、共に子育てをすることは可能です。裁判所は申し立てにより面会交流の実施を命ずることができ、別居親が子どもに関わる機会は保障されており、それでも会えないのは相応の理由がある場合です。面会交流実施のために、離婚後の共同親権導入が必要という立法事実はありません。

共同親権導入の民法改正について政府は、共同親権でなければならない理由を示し、基準や運用について議論を尽くしたうえで、「誰のため、何のための改正なのか」を国民に明確に説明すべきです。さらに、国会に対しては、真に「こどもまんなか」目線の改正なのか、多くの懸念や指摘されている危険性などに真摯に向き合い、慎重な対応をとることを強く求めます。

4/12(4党:自民、公明、立民、維新)が改正案の一部修正に合意という。内容は父母の力関係の差で不適切な合意とならないように「真意を確認する措置を検討する」などを附則に盛り込むという。

元々の改正案は離婚後は単独親権とする規定を見直し、共同親権を選べるようにする。父母が協議で折り合えなければ家裁が親権のあり方を判断。DV・虐待の恐れがあれば共同親権を認めず、被害継続を防ぐとしている。

 

民法改正案が今国会に提出される予定となっている