生活者ネットワークは、地下水のPFAS汚染の原因究明と対策のため、都議会や多摩地域市議会を中心に積極的に動いています。東京都の水道水源井戸からPFOS、PFOAが検出された直後の2019年6月には、都議会生活者ネットとして、文書質問「有機フッ素化合物の水質汚染について」を提出(答弁は9月)。翌20年1月には、東京都知事と水道局長宛てに「横田基地周辺井戸の有機フッ素化合物汚染について原因究明を求める要請」を提出しました。その後も質問や提案を繰り返しています。
また、多摩地域の複数の生活者ネットワークが原因究明と汚染除去を求める意見書提案や一般質問をするなどして、自治体独自の検査実施など成果も得ています。さらに、「PFASに関する地域ネット連絡会」を立ち上げ、都議会議員岩永やす代を座長に、自治体施策や市民との連携について情報共有をしながら、施策提案を続けています。この2月には、東京都環境局・水道局・保健医療局へのヒアリング(5日)、国に対しては、環境省・厚生労働省・農林水産省に対して要望書を提出するとともに意見交換の場を持ちました。(防衛省も同席)
経済効率を優先し便利な化学物質であるPFASを長年使用してきたことで、大切な市民の財産である多摩の豊かな地下水が汚染されてしまったことは忸怩たる思いです。次世代への責任のためにも、引き続き区市・東京都・国へ働きかけていきます。
<国への要望書> 2024年2月8日
内閣総理大臣 岸田 文雄 様
環境大臣 伊藤信太郎 様
厚生労働大臣 武見 敬三 様
農林水産大臣 坂本 哲志 様
東京・生活者ネットワーク
東京都新宿区歌舞伎町2-9-13 ASKビル4・5階
地下水の有機フッ素化合物汚染の原因究明と汚染除去を求める要望
東京・生活者ネットワークは、長年水や化学物質の問題に取り組んでいます。なかでも地下水の保全・活用をはじめとした水循環、化学物質の健康や環境への影響は、主要なテーマです。
水のPFAS汚染は、米軍基地周辺で発覚した沖縄県を皮切りに全国各地で明らかになり、東京都多摩地域でも水道水源井戸からPFOS、PFOAが高濃度で検出されました。多摩地域では、広く市民の貴重な財産として、地下水を農業、豆腐・そば・酒造りなどの食品加工や水道水源としても大切に使い続けてきました。現在、PFAS汚染によって多くの井戸が取水停止しており、自慢の水が飲めなくなっていく現状に、強い憤りを覚えています。地下水汚染は土壌や農産物への影響も懸念されることから、農業者からも心配の声が上がっています。
高濃度のPFASが検出された多摩地域の配水地域を中心に市民団体が住民の血液のPFAS濃度を調査したところ、ドイツのHBM-Ⅱ(それを超えると、健康影響があると考えられるレベル)を上回る高濃度検出者が続出したことから、住民に健康被害への不安が広がっています。人体や環境への影響について解明が急がれますが、日本ではバイオモニタリングが行われておらず、基準値など定まっていないことも多く、検討段階でとどまっている状態です。人体への影響は、特に子どもへの影響が心配です。知見を集め、早急な対策を施すことは国の責任と考えます。
地下水汚染は、東京都が都内自治体と協力して実施した観測結果によれば、多摩地域だけでなく23区も含めて都内各所で検出されています。そのことから、主な汚染源と見られている米軍横田基地以外にも汚染源は複数あると思われますが、特定されていません。まずは、汚染源を特定することが必要です。また、環境中に放出されたPFASは分解されずに循環するため、予防原則に立って製造・使用や放出を規制し元を断つこと、放出されたPFASを除去・処分(無害化)することも必要です。
東京の地下水PFAS汚染問題を解決し、公共財としての地下水を保全するとともに、将来的には水道水源井戸を復活させるために、以下のことを要望します。
1 東京都と連携して、原因を究明し汚染源を特定すること。
2 汚染拡大防止のため、地下水のPFASを除去すること。
3 予防原則の立場に立ち、PFOS、PFOA 、PFHxSだけでなく、PFAS全体を対象に使用を規制すること。
4 子どもを含め、バイオモニタリングを行い、PFASの人体への影響について解明すること。
5 これらを実行するため、確実に予算措置をすること。
以上
2月5日の東京都へのヒアリング。