雨デモ風デモ、有効利用

 9月に入っても、まだまだ暑い日が続くなか、小金井市にある「雨デモ風デモハウス」に見学に行きました。なるべく一般電力に頼らずに過ごすことを目標に、市民と行政の協力による公共プロジェクトで建てられた環境配慮型モデルハウスです。この日は30度を越す暑さ。武蔵小金井駅から10分ほど歩いて、汗が噴出すようでしたが、入ったとたんそよそよの風が肌に涼しく感じられる心地よい空間が待っていました。貯めた雨水で天井を冷やし、厚い壁と可動壁で熱を遮り、土地にあった窓の配置をすることでクーラーがなくても涼しい2階建ての家。ちょっと暗いけれど、むくの木の香りや感触が気持ちよい、ほっとするオープンスペースです。

 生活者ネットワークが今年5月におこなったエネルギーシフトの調査では、原発事故以降、節電を心がけて生活するようになったり、原発についての考え方を変える人の割合がたくさんありました。アンペアダウンや緑のカーテン、よしず・すだれの設置など簡単にできることから、太陽光発電を設置したなどまで、それぞれが努力をしている様子がうかがえました。
 ただ「なるべく使わないようにする」という考えは、「生活には電気は必需品」というのを前提とし、それが電気がないと暮しにくいと電気依存からの脱却を難しくしているようです。

黒岩さんと

 この日は、雨デモ風デモハウスの官民協同プロジェクトに参加した建築家の黒岩哲彦(くろいわあきひこ)さんに、ゆっくりじっくりお話を聞くことができました。「生活に必要なのは電気ではなく熱だ」と言われ、一般家庭で使われるエネルギーの6割は熱関係、電気はそれほど必要ない。だから熱は熱で得ることが大切。どんな方法(火力発電・原子力発電・太陽光発電)でも熱から電気を作る効率はとても悪く、10の熱から4以上の電気にはならない。だから、家庭で太陽光から電気を作る事よりも、まず熱を得る事のほうが生活領域では大切。残りの部分を太陽光発電

で補えば、住宅で使われるエネルギーの100%以上になるという。
 このハウスの特徴は、雨水冷房、太陽光温水給湯・暖房。さらにキッチンからでた汚水はビオトープ水路でキレイに浄化して再利用、生ゴミはキエールくんで土に還す。なんとも始末の良い家。今回の見学は、これまで「あったらよいのに」と思っていたものがもう現実になっていた、という驚きがありました。商業電気に頼ることなく、身近な資源性=エクセルギー、で暮すことができれば、子どもたちへも安心と安全が手渡せそうです。もっとたくさんの人に、こんな家があるよ、と伝えたくなりました。エクセルギーハウスは、国の先進省エネルギーシステムに認定され、1棟当たり150万円から350万円の補助が受けられるようになっているようです。